忘れた頃にやってくる、ニャンデスクリエイターズファイル第7弾!!
今回のゲストはワンマンバンドのRio de 半仁門さん(以下、半仁門さん)です。
Instagram ID: hanjinnmon
半仁門さんはワンマンバンドとして活動されていて、ライブ活動の他、ニャンデスCD Vol.1、2にもご参加くださっています。
ワンマンバンドとは一人で複数の楽器を同時に演奏し、ソロでありながらバンドアンサンブルのような表現をする手法です。
ニャンデスの中の人が半仁門さんに初めてお会いしたのは、数年前の京都フォルクローレフェスタでした。
駆け出しの頃のニャンデスが出店しているところに、Twitter見てます!とお声をかけてくださって、まさか見てくれている人がいるなんてと驚いたのを覚えています。

ー 音楽活動を始められたのはいつからですか?
大学に入学してからです。2005年くらいからですね。
初めてフォルクローレを聴いたのは、大学のフォルクローレサークルの路上演奏でした。
そのときの曲が「エンクエントロス」だったのですが、良い曲だし、面白そうな楽器だなと思いました。
ちょうど大学で新しいことを始めたいなと思っていたので、入部したという感じです。
ー ワンマンバンドを始められたのはいつからでしょうか?
ドラム、伴奏、メロディー全てを含めたワンマンバンドとしては、2015年ごろからですが、基となる弦とサンポーニャの同時演奏自体は、2006年〜2007年ごろ、大学2、3年くらいから始めました。
当時はYouTube黎明期で、YouTubeでフォルクローレ関連の色々な動画を探していたのですが、その中でペルー人の青年たちがチャラサン(チャランゴとサンポーニャの同時演奏)している動画を見つけたんです。それを観て、自分もやってみようと思いました。最初は大学サークルの飲み会の余興みたいな形でチャラサンをやっていましたね。
その後少しずつチャラサンでステージに上がるようになり、続けていくうちに物足りなくなって楽器を足していって、今の形に至ります。
ー 影響を受けた人はいらっしゃいますか?
一番影響を受けたのは、やはり最初に動画で見たチャラサンのペルーの青年たちです。分かる限りだとRoberto Landa氏, Rios Jan Atauje氏。よければ、「charango y zampoña」でyoutube で検索してみてください。良い演奏がいっぱいあります。
背中ドラムのスタイルで見本にした人は色々いて、例えばクロアチアのCIGOワンマンバンドはスネアドラムを使用する技と口周りのセットを参考にしています。
ドラムのビーターにテニスボールを使用するアイデアはエクアドルのフォルクローレ仲間のアドバイスを参考にしています。
また、大阪で活動している、たにけワンマンバンドさん(Twitter @tanikechannel)からは、ギターのボディに楽器をつけるスタイルを参考にしています。
影響というか、憧れですが、油井ジョージワンマンバンドさん(Twitter @yui_george)のドラムの扱いについて、ああいう動きを目指したいと思っています。
ワンマンバンドのシステムを自分でウンウン唸りながら自作していると、彼らの凄さが分かります。
これだとワンマンバンドのドラムの話ばかりになってしまいますね(笑、サンポーニャについても話すと、やはり、それはフェルナンド・ヒメネスでしょう。音質、音量、安定感、スキル、彼の音は、すべてのサンポーニャ奏者が目指すべきものだと思っています。

ー 今、同時演奏している楽器はいくつでしょうか?
今は楽器の数を減らしているんですよ。シンプルにしようとしています。
サンポーニャ、カズー、ギター、鳥、豚、シンバル、ドラム、チャフチャス、箱…9、10個くらいですね。
ー それでも凄いですが(汗。最大何個ですか?
一番多いときで14個くらいでした。
増えれば増えるほど、1ステージで全部使わないといけなくなるから大変です。
そうでないと、「使わなかった楽器がありましたね?」と言われてしまったりするんです。
かといって全ての楽器を網羅するようなアレンジを考えると、曲調に合わない楽器も無理やり使わないといけなくなります。
そういったことを避けたいと思って、先ほど述べたように楽器を減らしています。
曲のアレンジ以外では、楽器紹介のための曲を作ったりして、ステージ上で全楽器を使い切れるように努力しています。
ー 楽器が多いほどアレンジを考えるのが大変そうですね。
先ほどの「影響を受けた人」で紹介した、大阪のワンマンバンド、たにけさんが「手をあげているクラスの子全員に答えさせてあげられない感覚」だとおっしゃっていました。
まさにそんな感じだと思います。
ー 演奏活動をする上で大事にしていることはありますか?
一人でステージに上がることが多いのでMCと曲が地続きなんです。
一曲一曲毎にぶつ切りにならず、始まりから終わりまでひとまとまりになるように、曲順や流れ、MC等、全体を考えてプロデュースすることを心がけています。
ー 現在の活動についてお伺いさせてください。
コロナ禍でイベントが減ったと思いますが、方針転換したことなどありますか?
屋外での演奏が激減し、個人営業のお店など屋内の演奏が増えました。
感染リスクを考えると真逆ですよね(笑
背中ドラム装備で立って歩き回って演奏すると、店を壊してしまいかねないので(笑
座りスタイルのワンマンバンドを研究するようになりました。

ー 環境に応じて柔軟に形態を変えているわけですね。
楽器の位置を変えると、体の動かし方も変わるわけですから練習し直しになりますよね?
位置というより、体の部位が重要な印象があります。
例えばシンバルの位置を変えたとしても、右手を使って鳴らしている限り、頭の上で鳴らすか、手元で鳴らすかは、意外と問題になりません。
それよりも、右手で行っていた動作を左足に変えるように、使用する体の部位を変更すると、感覚が大きく変わるから、そういう場合は練習し直しになりますね。脳の信号を発する「場所が」変わる感覚があります。
だから、立ちスタイル、座りスタイルと形は変わっても、脳の使う場所が同じ(同じ体の部位)であれば意外と容易に演奏できる場合もあります。
これはワンマンバンドあるあるなんじゃないかと思っているんですが、どうでしょう!?(笑
他のワンマンバンドさんと話すと、「分かる〜!」と共感が生まれることもあります。
ー 私には分からないです(笑
自転車の運転に例えるとわかりやすいと思います。
「ペダルを漕いで」、「ハンドル操作して」、目で「安全確認をする」、という複数の動作を、私たちは一言で「自転車に乗る」と表していますよね。
ワンマンバンドも「沢山の楽器を別々に演奏する」、のではなくて「ワンマンバンドという一つの動作をする」という感覚です。
だから、自転車に乗れる人はワンマンバンドも…
ー できないっス!!(笑
体の各部位を「連動させる」、という意識かなと思います。
同時演奏で扱う沢山の楽器の中にも重心があって、自分の場合はサンポーニャがその役割を担っています。
サンポーニャのメロディが中心にあり、それに合わせて勝手に手足が動くような感じです。
「ここでシンバルを叩こう」という意識はなく、曲の流れに応じて自然に体が動く、みたいな。
サンポーニャを演奏する延長線上にワンマンバンドの演奏があります。
ー ワンマンバンドは一つの楽器なんですね。
よくケーナ奏者がケーナは体の一部、と表現しますが、ワンマンバンドもそれぞれの楽器が体の一部という感覚なのですね。
そうですね。
ー 今後はどのような展望をお考えでしょうか?
特にこれといった目標はないです。
今までも行き当たりばったり的にやりながら決めていくという感じで活動してきました。
とりあえず今のところは、コロナ下のニューノーマルな環境に合わせ、なるべく小ぶりな装備でミニマルなワンマンバンドを模索しています。
また、生活の中から常に新しいアイデアを拾っています。
例えば、ボルト一つ見ても「これは楽器にならないかなー」って。
10個のアイデアの内一つ使い物になるかどうかという感じなのですが、失敗だと思ったガラクタが数年後に生きてきたりもします。
ワンマンバンドはシステム構築が重要ですが、その時にうまく行くと思ったシステムでもずっとやっていると欠陥が見つかります。
それを一個ずつ改善して、これからもより良い演奏環境を目指していきたいと思います。
試行錯誤の連続ですね。
ー 半仁門さんの動物に関するお話があれば、最後にお伺いしてもよろしいでしょうか。
子供の頃、野良犬を拾って飼っていました。
実家の集落は野良犬がよくいたのですが、人間に通じてるところがあって面白いと思います。
こちらがビクビクしていると調子に乗って追いかけてきたりするけど、威嚇すると逃げていったり。
自分ちの犬は気が強い犬だったので、一緒に戦ったりして、負けない気持ちを教えてもらいました(笑
将来は伴侶動物を迎えたいと思っています。
ー 本日はありがとうございました。
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