みなさんお待ちかね、ニャンデスクリエイターズファイル第6弾!!
今回のゲストは動物保護団体リーフノット代表、飛田 俊さんです。
(リーフノット ホームページ https://reef-knot.net/ )
私がニャンデスの活動を始めた最初の頃、信頼できそうな寄付先を調べる中でハッピーハウス(日本アニマルトラスト)さんのことを知り、そこで対応してくださっていたのが飛田さんでした。
飛田さんは2年前に独立されて、動物保護団体リーフノットを立ち上げられました。
その後も交流が続き、保護動物の現状や動物業界の事など様々ご教示いただいてます。
— 飛田さんとはよくイベント会場などでお話をする機会はありましたが、こうして改まってお話を伺うのは初めてかもしれませんね。
動物保護をするきっかけのような出来事はありますか?
足を三本怪我した猫を保護したことで、保護動物の事を詳しく知るきっかけになりました。
子供の頃から動物が好きで、TVで殺処分の話は知っていましたが、そのときは何か行動するところまではいかなかったです。
動物関係の仕事に就くことはなく、家の経済事情もあり一般企業に勤めてました。
そんな中、自宅マンションの玄関にとても人懐っこい猫が現れたんです。
足にグリグリしてきて、可愛い野良猫だなと思っていました。
その猫を3、4日見かけなくなって次に会った時は、頭は泥だらけで皮がめくれ、前足は骨が見えるくらいに怪我をしてウジがわき、フラフラになっていました。
深夜0時に夜間の動物病院へ電話すると
「費用は10万超えますよ。野良猫ですよね?野良猫は治療後、ご自身で引き取ってもらうことになりますが大丈夫ですか?」と言われました。
え?そういうシステムなの?と、これは飼えということか!?
猫は怪我で酷い状態でしたので考えるまでもなく、よし、飼おう!と決意し病院へ連れて行きました。
翌日から一般病院に変わり数日通っていると、獣医さんから飼い主らしき人がいると連絡があり、飼い主と会う約束をしました。
会うまで僕は結構腹を立ててましたよ!
猫を外へ逃がしたことによって、こんなにボロボロになって、足も切断しなきゃいけないような状態、それもまた費用が10万超える。
猫を飼ったことがなかったのですが、包帯グルグル巻きでも甘えてきて、猫ってこんなに懐っこくて可愛いものなんだなと。こんな子に辛い思いをさせて、ひとこと言ってやらなきゃ気が済まない!
遠くから飼い主さんが走ってくるのが見えて、
「飛田さんですか?この度は本当にありがとうございます!間違いなくウチの子です」と
ボロボロ泣きだして猫と僕に謝罪しているのを見て、いい人なんだと思い、怒りがおさまりました。
病院へ連れて行く時にキャリーから抜け出して逃げたそうです。
怪我した野良猫を治療したら飼わなきゃいけないの?保護できるところは無いの?動物業界ってどうなってるの?と、この件で疑問に思うところが沢山ありました。
その当時は保護施設があるのを知らなかったのです。
こういう子が保健所へ行って処分されてしまうのかな、と思いましたね。
自分で何かできるかも、とインターネットで検索していた中でハッピーハウスのことを知って見学に行くことにしました。
— いよいよハッピーハウスの登場ですね!
(ハッピーハウスは大阪府能勢町にある大きな保護施設です)
ハッピーハウスへ見学に行って衝撃を受けましたよ!
今でも鳥肌が立ちます。
保護動物ってこんなにいるの?(現在600頭近く保護されています)
タバコの火傷跡がある子など虐待を受けたり不幸な経緯で来た子が沢山いました。
どうにかしてここに就職したい!一回目の見学で心を決めました。
求人が出ているのを知って、会社を退職し、何が何でも通りたくて私服で良いと書いてあるのにスーツでバッチリキメて面接を受けに行きましたね(笑)
— 失礼ですがその時はもうご結婚されてたのですよね?
ご家族の方は転職について何も仰いませんでしたか?
妻は僕が動物好きなのを知ってましたし、13年勤めた会社で稼ぎも良かったので、今まで十分好きにさせてもらったから次は自分の好きなことしてみたら、と言ってくれました。
僕自身、サラリーマンに飽きてたのもあります、一生この仕事するのかな、って。
昔は凄く貧しかったけど、就職してお金は手にすることができた。
欲しい物は何でも手にすることができてこれで幸せになれると思っていたけれど、何か虚しいと感じる時がありました。
晴れてハッピーハウスで働くことになりましたが、仕事はめちゃくちゃハードで、同日に就職した人が翌日には来なくなってました(笑)
熊本の震災の時もペットのレスキューにスタッフが赴いたため、宿直が続き大変でしたね。
その間も夜中に猫のレスキュー依頼が来てましたし。
4年間そこで働いて動物保護の世界を知り、ノウハウを学びました。
— そこからなぜ独立を考えられたのですか?
とある事情で保健所へ行く事になり、保健所の現実を目の当たりにして、衝撃を受けてからです。
保健所を訪問した時、とても人懐っこい犬がいました。飼い主からの持ち込みや迷子犬です。
しかし、命の期限がついていました。
それをどうすることも出来ない歯痒さがありました。
その時に、保健所に収容されている動物たちを何とかしたい、という思いが強くなりましたね。
保健所に入ってしまうと待った無し。
しかし保健所に団体登録すると大きな施設がパンクするのは目に見えていますし、今の状態では出来ない事もあると気付かされました。
— 保健所に団体登録すると殺処分前に保健所から声がかかるのですね。
全部ではないです。重い病気や高齢で保護施設にも迷惑がかかると判断された動物は処分されることもあります。また、やり方はそれぞれの保健所により違います。
(大阪市の保健所では現在、20以上の団体が登録されています)
保健所から動物を引き取る専門の保護団体を作ったらどうだろうか。
小規模でも保健所から少しずつ引き取る保護団体のモデルになって、それを真似する団体が増えれば、大きな団体がやらなくても分散できるのではないか。
という考えが芽生えました。
— なるほど、それが無いなら自ら作ろうと思われたのですね!
ハッピーハウスを退職した他のスタッフさん達も各々、自分の特色を生かして頑張っています。
その特色を持った他の団体と繋がって、有事に助け合えるような協力体制をとれないかと考えています。
— そして動物保護団体リーフノットを立ち上げられた。
平成31年12月に立ち上げ、翌年4月に法人化、それから2年になります。
— 現在(5/26)何頭保護されていますか?
17頭です。本当は14頭くらいに抑えたいですね。
災害等のトラブルで施設が運営できなくなったときに、自宅で世話ができる限界の数です。
— それめちゃくちゃ大事ですよね!いつ何が起きるか分からないですから、有事に備える事。これは飼い主全員が考えないといけない事ですね。
そうです。保護施設が多頭飼育崩壊するのはあってはならない事ですから。
— SNSでもよくみかけます。パンクしてるのにまた保護して、財政が苦しいから寄付くださいと。
目の前にいる動物を見殺しにできない気持ちはわかりますが、複雑な思いになります。
気持ちは痛いほど分かりますが、経営が苦しいなら保護を止めないといけないです。
他の施設に要請するとか他のやり方を探すべきです。
— 動物業界について思うところはありますか?
闇が凄い!の一言です。
今回の動物愛護法数値規制に関しても、たしか関係者にペットフード会社のお偉いさんがいましたし。
ペットフード業界は、なんとか規制を緩くして動物の絶対数を増やしたいという意図が見えてしまいますね。
日本に関しては愛玩動物が増え過ぎのように感じます。
数年前からペットの数が15歳以上の子供の数を上回っています。
おいしいビジネスになるはずです。
動物業界はビジネスが絡むから諸々の問題解決は一筋縄ではいかないですよ。
政治家も利用してますしね。
ウチの施設にも選挙前だけ「いくらでも布団贈るよ!そのかわり、団体全員の署名をもらってくれ」とか言ってくる人がいます。
結局、選挙中、選挙後も布団も何もないです。
街頭募金してる時も「何か手伝えることないですか」と必ず寄ってきます。
利用されやすいですね。
YouTubeにしても自作自演の野良猫保護とか。悪い人はいくらでもいます。
— 保護動物を利用することしか考えてないのですね…
過保護過ぎる飼い主に関しても疑問があります。
犬のカートは機能性も優れておりとても便利ですが、犬って歩くのも走るのも土や草の匂いを嗅ぐもの大好きです。
愛護団体にしても「動物愛誤」と呼ばれる一部の行き過ぎた人たちや、派閥があったり、宗教の教祖みたいになってる人とか。
支援者が信者化してしまい、支援者同士が喧嘩してしまったり、動物を取り巻く問題は全て人間が問題です。
— 動物に関わる仕事を選んでも、結局は人間関係の問題にぶち当たるのですね(汗)
コロナ禍で変わった事、変えた事はありますか?
方針転換はしてないです。元々ご寄付だけでやりくり出来るほど甘くはないと知っていましたし、自分で稼ぐ方法を最初から考えてきました。
ただ、難しいですね。
支援者様も厳しい状況に置かれていますし、寄付も減ってきています。
前向きに考えると、無理矢理にでも前進しなきゃならない状況になったという事でしょうか。
もし寄付だけでやりくりできるのであれば、そこに甘んじてしまったかもしれないし、今は何かしないと死んでしまうという状況です。
道端で轢かれて亡くなってしまった野良ちゃんたちもおくってあげられる動物火葬業を始めたいと以前から考えているですが、怖い人たちが絡んでいたり、火葬車の購入、スタッフの確保等々、課題点が色々とあります。
継続の為の運営資金のお願いはやりにくいです、延命にしかなりませんから。
なので今まで各所で「経営を助けてください」の書き方はしてきませんでした。
でも、ある支援者様から、苦しい運営状況を言わないと分からないから書くべきですよと言われました。
— それはありますよ。ネット等の発信が平和でほっこりしたものばかりだと、ああこの施設は余裕なんだな〜なんて思ってしまいます。
思いきって窮状を書かれるのも良いかもしれませんね。
最近、絵本を出版されましたね!
絵がとても優しくて、あたたかい気持ちになります。
施設での実話を元に書きました。
絵本を使うことで分かりやすく啓蒙活動できますから、どうにかして広めたいと考えてます。
— 絵本を出されたきっかけは何ですか?
元々、僕は作家志望だったんです。
昔はよく〇〇賞みたいなのに投稿してましたよ。
動物保護啓発の本を出したかったので、今回実現して嬉しく思います。
絵本のシリーズ化も考えています!
つぎは親父のアノ話です(笑)
— アレですか!(内容は秘密)
大炎上しそうです(笑)
あなたならどう思いますか、と一石を投じるお話になりますね。
楽しみにしております!
インタビュー中にニャーオと何度も頭突きをしてきた龍馬君。
ここに居る猫たちは幸せそうに見えますが…
絵本に登場する猫のように思っている子がいるかもしれません(絵本読んでね〜)
(ニャンデスからも販売中〜こちら)
猫たちの本当の幸せとは何かをずっと探究し続ける飛田さん。
その姿勢に頭が下がるニャンデス中の人でした。
(取材日 : 2021年5月26日)